Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
今まで気もつかなかった、変に捻けた自我がそこに発見された。葉子を脅かすようなことも時には熱情的に書きかねないのであった。葉子のような文学かぶれのした女を楽しましめるような手紙は、無論彼には不得手でもあったし、気恥ずかしくもあった。
そうした時、ある日陰気な書斎に独りいるところへ、一人の女流詩人が詩の草稿をもって訪ねて来た。年の若い体の小さいその女流詩人は、見たところ小ざっぱりした身装もしていなかったが、感じは悪くなかった。彼女の現在は神楽坂の女給であったが、その前にしばらく庸三の親友の郊外の家で、家事に働いていたこともあった。彼女は今絶望のどん底にあるものらしかったが、客にサアビスする隙々に、詩作に耽るのであった。毎日々々の生活が、やがて彼女の歔欷の詩であり、酷い運命の行進曲であった。
彼女の持ち込んだ詩稿のなかにはすでに印刷されているものも沢山あったが、庸三はその一つ二つを読んでいるうちに、詩のわからない彼ではあったが、何か彼女の魂の苦しみに触れるような感じがして、つい目頭が熱くなり、心弱くも涙が流れた。
「これをどこか出してくれる処がないものかと思いますけれど……。