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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな時、庸三は今まで誰か葉子の傍にいたものがあったような影も心に差すのであったが、葉子はそれとは反対に、蚊帳の外に立膝している庸三に感激的な言葉をささやくのであった。

「これが普通の恋愛だったら、誰も何とも言やしないんだわ。年のちがった二人が逢ったという偶然が奇蹟でなくて何でしょう。」

しかし庸三はまたその言葉が隠している、真の意味も考えないわけに行かなかった。三年か五年か、せいぜい十年も我慢すれば、やがて庸三もこの舞台から退場するであろう。そして一切が清算されるであろう。それまでに巧くジャーナリズムの潮を乗り切った彼女を、別の楽しい結婚生活が待っているであろうと。

庸三は今彼の書斎で、せっせと紙の上にペンを走らせていた。

書いているうちに、何か感傷が込みあげて、字体も見えないくらいに、熱い涙がにじんで来た。彼は指頭や手の甲で涙を拭きながら、ペンを運んでいた。彼は次ぎの部屋で、すやすや明け方の快い睡りを眠っている幼い子供たちのことで、胸が一杯であった。宵に受け取った葉子の電報が、机の端にあった。

アシタ七ジツク

というのであった。

病床にいる彼女と握手して帰ってから、もう二週間もの日が過ぎたが、その間に苦しみぬいた彼の心も、だんだん正常に復ろうとしていた。