Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「貴女浮気して来ました。いけません。」
美しい大入道のクルベーはさすがに、顔を真赤にして怒っていた。
またある時は、病気にかこつけて、温泉場の旅館で、芳町時代から、関係の断続していた情人と逢っているところへ、いきなりクルベーに来られて、男が洋服を浚って、縁から転がり落ちるようにして庭へ逃げたあとに、時計が遺っていたりした。しかしクルベーは小夜子を憎まなかった。目に余るようなことさえしなければ、彼の目褄を忍んでの、少しばかりの悪戯は大目に見ようと思っていた。彼はその一人子息が、自転車で怪我をして死んでから、本国へ引き揚げる希望もなくなっていた。武器を支那へ売りこもうとして失敗して以来、日本の軍部でも次第に独逸製品を拒むような機運が向いて来た。しかし小夜子が彼の屋敷を出たのには、切れても切れられない関係にあった、長いあいだの男の唆かしにも因るのであった。ようやくクールベから離れて来てみると、裏店へでも潜らない限り、その男とも一緒に行けないことも解って来た。
水ぎわの家を初めてからも、クルベーはそっとやって来て、この商売はやってもいいから、たまには逢うことにしようと言うのだったが、近所が煩さいし、人気商売だから、寄りついてくれても困ると言って、小夜子はぴったり断わった。