Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
またこの町内のある地主の子息は、工科出の地質学者であったが、召集されるとすぐ、深くも思い決した体で、心を後に残さないように、日頃愛用していたライカアやレコオドを残らず叩き壊し、潔く征途に上ったものだったが、一ト月の後にはノモンハンで挺身奮闘して斃れてしまった。同じ奉公は奉公に違いなく、町の与太ものの意気もはなはだ愛すべきだが、科学人の白熱的な魂の燃焼も、十分讃め称えられるべきだと思われた。
均平は長くもこの病室にいなかった。ただ均一を見舞うだけの旅行であったが、逢ってみると別に話すべきこともなく、今の自分の姿にも負け目が感じられ、後は加世子に委せて、ベランダへ出て風に吹かれていた。均平はこの年になっても持前のわがままがぬけず、別にこれと言って希望もなく、今後の生活の設計があるのでもなかったが、そうかと言ってそこに全く安住している気にもなれず、絶えず何か焦躁を感じていた。
「もう帰るとしようか。また来るかも知れないが……。」
汐を見て均平は椅子を離れた。
「そうね。」
兄との話の途切れたところで、加世子も言った。
均平は均一の傍へ寄って、痩せた手を握り、