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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「僕は御免ですよ。」

庸三はこの場合博士の前で、莫迦げた道化師にされた鬱憤を、それでいくらか晴らしたような気もしたが、記者につづいて、博士が辞して行ったあと、一層憤りが募って来た。彼はベッドの傍を往ったり来たりしながら、葉子を詰った。葉子はそれについては、弁解がましいただの一言も口にしなかった。

やがて庸三は原稿紙や雑誌や、着替えのシャツのようなものを、無造作にトランクに詰めはじめた。そして錠をおろすと、ボオイを呼んでビルを命じた。

「K――さん名誉ある人ですから、それだけはお考えになってね。」

葉子は目に涙をためながら哀願した。

「それに先生も少し邪推よ。後で話しますわ。」

勘定をすますと、庸三は重い鞄を提げて、いきなり部屋を出ようとしたが、駅まで行くには車を呼ぶ必要もあった。懇意になりかけたマスタアやボオイたちの手前、病人の葉子を置き去りにするのも、体裁が悪かった。K――博士との関係が、どこまで進んでいるかも気懸りであった。何よりも適当な時機に、衷心から釈け合うことは望めないにしても、表面だけでも来た時のようにして一緒に帰りたかった。一人帰れば、あの寂しい書斎でやる瀬のない一夜を、おちおち眠ることもできずに苦しみ通すに違いないのであった。