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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

さりとて信仰なしに宗教の規範や形式に自身を鋳込むのも空々しかったし、何か学術の研究に没頭するというのも、柄にないことであった。彼は長いあいだの家庭生活にも倦みきっていたし、この惨めな恋愛にも疲れはてていた。心と躯の憩いをどこかの山林に取りたいとはいつも思うことだが、そんな生活も現代ではすでに相当贅沢なものであった。

一盞の葡萄酒が、圧し潰された彼の霊ををとろとろした酔いに誘って、がじがじした頭に仄かな火をつけてくれた。そして食事をすまして、サルンのストオブの側に椅子を取って煙草をふかしていると、幾日かの疲れが出たせいか、心地よく眠気が差して来た。

やがて彼は部屋へ帰って、着物のままベッドに入った。この場合広いベッドに自由に手足を伸ばして、体を休めることが、彼にとって何よりの安息であった。

庸三は葉子が帰って来るようにも思えたし、帰って来ないような気もして、初めはむしろ帰って来ない方がせいせいするような感じだったが、うとうと一と寝入りしてから、およそ一時間半も眠ったろうか、隣室の客が帰って来た気勢に、ふと目がさめると、その時はもう煖炉を境とした一方の隣りにあるサルンにも人声が絶えて、ホテルはしんと静まりかえっていたので、事務室の大時計のセコンドを刻む音や、どこかの部屋のドアの音などが、一々耳につきはじめて