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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

博士との関係をずっと持ち続けるには、かえって遠ざかっている方が、とかく名誉に傷つきやすい博士のために有利だと考え、擬装のためわざと庸三を利用しているように思われないこともなかった。そのころまだ博士の贈りものだとも気づかなかったので、捲毛のカナリヤの籠の側で、庸三はよく籐椅子に腰かけながら、あまり好きでないこの小禽の動作を見守っていたものだが、いくらかの潜在的な予感もあったので、葉子のこの小禽に対する感情をそれとなく探るような気持もあった。彼は少年のころ小鳥を飼った経験があるが、枝にいる時ほど籠の小鳥は好きではなかった。この繊細なカナリヤも飼い馴れない葉子の手で、やがて死ぬだろうと思うと、好い気持がしなかった。

やがて梅雨期にでも入ったのか、この海岸の空気も毎日陰鬱であった。葉子はある日のお昼過ぎ、婦人雑誌社を訪問する用事があって、一人で東京へ行った。庸三もそう続けてそこにいたわけでもなかった。葉子と生活をともにしていることも、決して楽ではなかった。自身の家庭に居馴らすことができてこそ、女も彼の日常の伴侶であり、朝夕の話相手でありうるのだったが、彼の生活に溶けこむこともできない生活条件の下では、かえって重荷を、あんな事件もあった後で、もうこの辺で卸してしまいたい気もしていた。