Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
開演にはまだ時間が早く、下も二階も座席が所々疎らに塞がっているきりであった。黄昏に似た薄暗さの底に、三人はしばらくプログラムを見ていたが、葉子は中に庸太郎という隔てのあるのを牴牾しがるようなふうもしていた。
「出よう。」
庸三が煙草をふかしに廊下へ出ると、二人も続いて出た。震災のとき、やっと火を消しとめたこの洋風の劇場は、そのころようやく新装が仕揚がったばかりで、前の古典的な装飾が、ぐっと瀟洒なものになっていた。三人は婦人休憩室へ入って、赤い縞の壁紙などを見まわしていたが、ふと庸太郎が父に声かけた。
「二階のホール御覧になりましたか。」
「さあ、どうだったかしら。」
「それあ綺麗ですよ。ここではあすこの趣味が一番いい。」
「そう、見たい。」
葉子は甘えるように言った。
「行ってみませんか。」
すると葉子も行きかけて、
「先生は? いらっしゃらない。」
「いいや、見てくるといい。」
庸三は少し尖っていたが、やはりじっとしていられない質で、二人の影が階上へ消えてから、廊下をぶらぶら歩きはじめた。入口のホールへ出てみると、美々しいドレスの外人も二組三組そこここに立話をしていたが、まだそんなに込んでもいなかった。