Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
彼は葉子たちの結婚が順調に行くことを祈る気持になるかと思うと、彼女が普通真面目な家庭に納まりきれない性格の持主だというところから、持前の浮気な熱情でせっかく飛びついて行っても、じきにまた破綻が来るであろうことを、ひそかに希ったりしていたのも真実で、今後もし逢う機会があっても、もう今までのような気持では逢ってもいられないだろうし、反動的な嫌悪の情が彼の総身に寒気を立てさすであろうとは思ったが、それと同時に、何か腹癒せに彼女をさんざん弄んでやりたいような悪魔的な野心も芽生えないわけに行かなかった。
すると金をハンド・バッグに仕舞って、あれほど悦んで飛んで帰って行った葉子が、間三日もおかないうちに、近所の例の安栄旅館から電話をかけて来た。
まだ宵のことで、彼は殺風景な応接室で、子供と一緒にお茶を呑みながらレコオドを聴いていたが、そうした家庭人になってみると、母のない子供の日常にも、何かはかない感じがまざまざ感じられて来て、楽しい気持にもなれないのであった。
庸三は自分への電話だときいて、門を出ていつも取り次いでくれている下宿屋の電話室へ入って行った。多分小夜子が花でも引こうというのだろうと思って、受話機を取ってみると思いがけなくそれが葉子の声なのに驚いた。