Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
庸三の傍にいるお蔭で、そうした才能や美徳も、泥土のように見くびられているが、それには群衆心理の意地の悪さがないとは云えなかった。――今も庸三はそういうふうに葉子を買っていたので、園田との結婚でほんとうに彼女の生活が安定する暁には、彼女もするする世の中へ推し出して行けるのではないかという気もしていた。そうしてそれを望んだ。それだけが世間の嘲罵の彼の償いだと思っていた。恋愛に陥りさえしなかったら、ある程度彼の力で彼女を生かすこともできたはずだとも思えた。それにどんな場合にも文学に縋りついて生きて行こうと悶いている、葉子の気持も哀れであった。
翌日女中が黒須の名刺を取り次いで来たとき、二人は辛うじて目が醒めたばかりであった。昨夜二人で広小路あたりを散歩してから、庸三は再び彼女とともに旅館へ帰って来た。そして風呂へ入ってからも、夜の化粧をした葉子と、水菓子を食べたりしているうちに夜が更けてしまった。
「どうぞお通しして。」
そう言って、葉子はあわてて起きあがって、
「ほかに空いた部屋ありますわね。」
「あいにく一杯でございますけれど……。」
若い女中が答えた。