Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
マダムは昨夜静岡へ立ちましたの。」
静岡には小夜子の種違いの、多額納税者の姉が、とかく病気がちに暮らしていた。
「でもいらっしゃいませんか。今どこですの。」
「そうね。」
いきなり葉子が寄って来て、受話機を取りあげた。
「どこへかけたの。」
「どこだっていいじゃないか。君は渋谷へ帰りたまえ。僕は一人で帰る。」
やがて車が来たので、彼は葉子を振り切って、玄関口へ出ると、急いで車に乗ろうとしたが、その時は葉子もすでにドアに手をかけていた。
スピイドの出た車のなかで、険しい争いが初まったと思うと、葉子はにわかに車を止めさせてあたふた降りて行ったが、一二町走ったと思うころに、後ろから呼びとめる声がしたかと思うと、葉子の乗った別のタキシイが、スピイドをかけて追いかけて来た。濡れた葉子の顔の覗いている車がしばしすれすれになったり、離れたりしていた。見ると、いつか庸三の車が一町もおくれてしまった。今度は心臓の弱い庸三が彼女の車を尾ける番だった。
二十二
世間的にも私生活的にももはや収拾のつかなくなった二人の立場を、擬装的にでも落ち着かせようとして、二人のあいだに結婚談の持ちあがったのもまたそのころのことであった。