Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「今度別れるようだったら、またぐずぐずにならないように、誰かしっかりした人を間へ入れよう。」
庸三が言うと、
「誰がいい?」
葉子も今にでも別れるように、あっさりしていた。
「春日君に委せよう。あの人ならかねがね僕たちに好意を示してくれているのだし、別れた後も君のことは心配してくれるから。春日君が入ってくれたら、後をいさぎよくしたいから、千円ぐらい上げてもいい。」
「そうお。」
葉子はにっこりした。今にもその金が使えそうに思えるらしかった。
「でも人に話さないでね。」
「いいとも。僕だって甘すぎるようでいやだから。」
そうしているうちに、註文の式服が、葉子の希望どおり二三箇所刺繍を附け加えて出来あがって来た。庸三はいよいよ脚光を浴びることになりそうに思えて、圧し潰されたような心に、強いて鞭を当てた。
庸三はかつて葉子の故郷で、昔、先夫の松川と結婚の夜に着飾ったという、小豆色した地のごりごりした小浜の振袖に、金糸銀糸で千羽鶴を刺繍してある帯をしめた彼女と、兄夫婦に妹も加わって、写真を取ったことがあった。それは庸三を迎えた時の彼女の家庭の記念撮影であったが、事によるとそれが本式になるのではないかと思った。