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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

というのは、大新聞に小説でも書くようになった暁には、庸三の傍を離れて、結婚生活に入りどこか静かな郊外で農園をもち、そこに愛の巣を営む約束で一年間月々生活費を送っていた秋本の定宿も、今はバラック建のその下宿であったが、歌など見てもらっていた葉子が、秋本に逢うのもその家であった。それに、秋本には最近また小説的な一つの事件があった。彼はずっと前から夫人と別居して、夫人の姉が第二夫人のような形で同棲し、彼の家政を見かたがた子供の世話をしていたが、それが最近少なからぬ金を拐帯して、元救世軍の士官だったという年輩の男のもとへ走っていたという事件は、その士官が左翼一方の頭領として、有名だっただけに、この夏ごろの新聞の社会面記事として、世間を賑わしていた。

「秋本さんはとても異った人でして、どうも頭脳が変でしたよ。」

下宿の主人は言うのであった。秋本はその事件の勃発とともに女を捜しに上京して来た。そしてここで幾度か女にも男にも逢ったが、女の決心は動かなかった。

葉子にいわせると、彼には郷里に遊びつけの芸者もあり、酒も強い方だったが、あれほどの物持でありながら、どの夫人にも逃げられるには、何か異ったところがあるらしかった。