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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

ある時も、彼は小肥りに肥った下宿の主婦に、部屋に葉子がいないと言われて、入口の石段を降りて来たが、何か人の気勢がしたようにも思われるし、お茶でも呑みに行ったか、行きつけの南明座かシネマ・パレスヘでも行ったのなら、帰るのを待つのもいいような気もしたが、いつもの「上がってお待ちになっては……」とも言わないので、それも気になった。

ちょうど政友会の放漫政策の後を享けて、緊縮政策の浜口内閣の出現した時であった。ふと庸三の耳に総理大臣の放送が入って来た。ラジオは下宿から少し奥へ入ったところの、十字路の角の電気器具商店からだったが、聞きたいと思っていたところなので、彼はステッキに半身を支えてしばらく耳を傾けながら、葉子の姿がもしも見えはしないかと、下宿の方に目を配っていた。先きの目当てのつかない彼女の下宿生活が、彼からの少しばかりの補助でいつまで持ちつづけられるはずのものでもなかったし、ジャアナリストに見放された葉子の立場を持ち直すこれという方法もなかったので、打開の道を講ずるために、何らか行動を執っているであろうことも考えられないことではなかった。それはそうなるべきだと思いながら、庸三の心には今なお割り切れないものがあった。