Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
あんな時分は訳もわからず、ぼーっとしているから、他哩のないものなのよ。先だって若いから、恋愛ともいえないような淡いものなの。」
銀子にもそんな思い出の一つや二つはあったが、彼女が出たての莟のような清純さを冒された悔恨は、今になっても拭いきれぬ痕を残しているのであった。
父が何にも知らず、行き当りばったりに飛び込んで行った浅草の桂庵につれられて、二度目の目見えで、やっと契約を結んだ家は、そうした人生の一歩を踏み出そうとする彼女にとって、あまり好ましいものではなかった。
彼女は隣りの材木屋の娘などがしていたように、踊りの稽古に通っていたが、遊芸が好きとは行かず、男の子のような悪さ遊びに耽りがちであった。そこは今の江東橋、そのころの柳原で、日露戦争後の好景気で、田舎から出て来て方々転々した果てに、一家はそこに落ち着き、小僧と職人四五人をつかって、靴屋をしていたのだったが、銀子が尋常を出る時分には、すでに寂れていた。ちょうど千葉街道に通じたところで水の流れがあり、上潮の時は青い水が漫々と差して来た。伝馬や筏、水上警察の舟などが絶えず往き来していた。伝馬は米、砂糖、肥料、小倉石油などを積んで、両国からと江戸川からと入って来るのだった。