轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
菖蒲の寮には侠客が出入りしていたの、御曹子新九郎が匿われていたの、または御方自身の行状にも、いろいろ風評のあった所なので、火事も自然ただの火事とは思われず、風評まちまちとなっている。
「その晩、山手組が斬りこみをやったのだそうだ――」
この噂は専らである、奉行所の手はすぐ氷川下へ廻ったというが、一人も召捕られた者はなかった。
知れないのはそればかりでなく、当夜から御方の落ちた先も、新九郎の所在も一向知れなくなった。公儀では大奥縁類の者からボロの出るのを好まず、御方の行方も深くは詮議させないらしい。
こんな噂が、行く春の江戸を賑わしている最中、下谷の地蔵長屋を立って、遍路の尺八を吹き流しながら、春日重蔵と千浪は、再び巷にわびしい姿を見せた。
尋ねる仇の玄蕃も、たしかにこの江戸にいる様子であり、弟の新九郎にも是非もう一度会わねばならぬと、重蔵はまだ幾らか痛む足を引きずって、江戸の横丁、裏小路の隈なきに至るまで日ごと日ごとに歩いているその一日のこと。
「千浪どの、どうやら午近い陽あし、あれに見える葭簀茶屋で憩んで参ると致しましょう」
「お待ちなされませ」
千浪は遠くから、神田濠の一膳飯屋の軒先を眺めて、