轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
三
「何か、いい分別はないものかしらね……」
「お延……」
と小六は、その時矢庭にグイと女の肩を引寄せて、何かヒソヒソ囁いた。
「えッ」
とお延は蒼くなって、あたりを見る。
「厭か?」
と小六の眼は鋭くお延の顔を射た。
「厭じゃないけれどさ……むこうが侍じゃ、ろくな金も持ってやしまいと思うのさ」
「ところが、夕方宿料を払っているのを、俺がこっちから睨んだところでは、まず、ざッと二、三百両がとこの路銀は持っているらしかった」
「へ……だが、もしやり損なったら?」
「その時は、俺が踏ん込んで一太刀よ。お前の仕事に外れはあっても、投げ槍小六の腕に狂いはないから安心しろ」
「したが、あんまり気味のいい仕事じゃないね。対手が侍と来たひには、枕さがしも命がけだよ」
「叱ッ……」
と小六は、お延が肩をすぼめて云う言葉を制して、凄い眼差しを、廊下の跫音へ振り向けた。
三
ぐッすりと、夢の果てまで、眠り落ちた短夜の真夜中過ぎ――部屋の窓から、ひらりと、外庭へ跳びおりた小六は、ややしばらく姿を隠していたが、再び窓口へ顔を出して、低い――聞きとれないほどな声で、何かをお延に合図する。
お延は、さすがに胴ぶるいを禁じ得ないかして、片手で乳を抱き締めながら、そッと間の仕切りを開けると中は闇、そこは空間で、隔てた次の間には、目星をつけた侍の鼾声がする。