轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
で、利助が急いで見に戻ってくると、長部屋の板の間で、しきりに、エイッ、オッという気当て声が響いている。
「驚いたな、まだやっているんだ……」
と呟きながら覗き込むと、福野流体術の相伝を受けたという部屋の用心棒――浪人金井一角を対手にして、汗みどろに揉み合っている。
「新九郎さん、新九郎さん――」
四、五度呼んだが、双方隙を睨み合っていて、耳にも入らない。と、いきなり金井一角のすくいにかけられた新九郎の体がドッと叩きつけられた。新九郎が刎ね起きると、また投げつけ、叩きつけ、さらに手強く投げつけた。
「勝負はそれまで。それまで。金井さんも新九郎様も、どうか早く船へお越しなすッておくんなさい」
利助が、いい機を引き分けたので、二人は初めて気がついた様子。起き上がって支度もそこそこに、見附前の河岸へ出て行った。
歩きながら、利助はいつもの冗戯半分にこう云う。
「口惜しいな、新九郎様はどうしてそう弱いんですえ。熱ッぽいにゃ驚きやすが、いまだに金井さんの体術にかなわねえなあわっしも業腹で堪らねえ、早く腕を上げておくんなせえ」
「馬鹿を申せ。新九郎殿は技こそ備わらぬが、こう一心では、間もなく拙者の上を越されるに違いない」