轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
ひとしきりは毎日二分銀がこの笊に溢れるほどに盛ったものを」
「ははははは奢る平氏久しからず」
玄蕃は二人の喞ち言を聞いて側で笑っていた。同じ浪々の境界、等しく兇悪性を持った三人の中にあっても、大藩の指南番であっただけに、やはり彼が一番光っているのは止むを得ない。
「お前さん――」
そこへ蓆の間から、お延の姿が半身見えた。
「何だ」
「小屋の前へ、お前さんに是非会わしてくれという者が来て、今源七と揉め合っているんだけれどどうしたものだろうね」
「何、拙者にぜひ会いたいという者が?」
「ああ、景気の悪い日には碌なことが舞い込みやしない」
「して其奴は、武士か町人か、そして人態は?」
「虚無僧だよ」
「え、虚無僧」
とやや慌て気味に立ち上がったのは、今まで他事に聞き流していた玄蕃だった。
「二人か」
と小六もにわかに引き緊った顔をする。
「ええ。どうするんですよ一体」
「その二人連れなら会ってやる。だが待てよ、おお玄蕃殿、案の定やって来たらしいが……」
「てッきり彼奴。では身共はしばらく姿を隠しておりますゆえ、巧く例の口実で……」
「よろしい。じゃあここへ連れて来い」
小六がお延に云い渡すと、大月玄蕃はそそくさとそこに掛けてあった熊谷笠を外し、何か二言三言云い残すが早いか、金井一角と共に風の如く裏口から抜け出してしまった。