轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
「どうしたんだい寝ているのかい」
などと、物見高い閑人が、輪を作って囁き合っていると、不意に顔を上げた新九郎が、酒乱のような真っ蒼な面に、鋭い目を吊るし上げて、
「うるさいッ」
弥次馬は恟っとしたが、場所が日本橋となると野次馬も一筋縄の手輩でないと見えて、
「ほい、寝てるんじゃねえや」
と散っても失せない。
「うるさい奴めら、打った斬るぞ」
今度は立って、脅しに柄を握ってみせると、さすがに、これには驚いたと見えてワッとそこを開いた。
「あはははははは……」
新九郎は大口開いて笑いながら、日本橋の欄干にすがりつつ、あぶない足どりを辿って来たが、晩春の川風に遭って、俄かに快くなったか、そこに腰を辷り落して、うつらうつらとしはじめた様子。
またすぐ弥次馬が盛り返してくる。そのうち、自身番から番太郎が駈けてきて、新九郎の側へコツン、コツンと六尺棒の突き音をさせながら、
「ご浪人、歩かっしゃい、ご浪人歩かっしゃい」
と、当らずさわらずに急き立てている。すると、
「もし、ご免遊ばしませ……」
と優しい声。
「おや?」
弥次馬は一斉に目をその方へあつめてしまった。見ると、御守殿風な女中に上品な老女、何かしばらく番太郎に囁いていたが、そのうち、塗骨の小扇をかかげてさしまねくと、一挺の駕が、