轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页

青空文庫

と下に簇っている男の中でも、図抜けて背の高い柿色の道服に革鞘の山刀を横たえた髯むじゃらな浪人が、一人の乾分を我鳴りつけた。

「ええ嘘じゃごぜえません、たしかにこの斑鳩嶽の上りへ来たのを探って来たんでがす」

「ふーむ。じゃもう来なくッちゃならねえ筈だがなあ……」

と少し静まり返っている。

「来たッ――」

と頭の上で物見の仙太の声がした。

「何ッ来た? ――」

と一同はにわかに引き緊まった顔をしていると、上から雷獣のように樹を辷り降りて来た仙太が道服の浪人に向って、

「洞門の小頭、この先へ二人の奴がやって来やした。早く手配りをしなくっちゃあ……」

と口ぜわしく云った。

「そうか。じゃみんなうまく姿を隠していろい」

と洞門の小頭と呼ばれた浪人は、一同を指揮してから、自分も熊笹の中へ姿を没して、戦ぎもさせずに森としていた。

それからしばらく、斑鳩嶽のこの山路は鳥の羽音もしなかったが、やがて何か話しながら通りかかって来た二人は、云うまでもなく六部姿の戸川志摩と春日新九郎とであった。

「新九郎殿、この分ではどうやら今宵は、山の中で日が暮れそうでござるぞ」

「たまには山に伏すのも一興でござりましょう」