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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

こういっている。まずおおよそこんな話である。この話がどの辺まで進展してゆくかわからぬが後にはきっと一つのまとまった口碑になろうと思われる。船幽霊の伝説はりっぱな花葉を飾り持っている。そして神秘な海洋という背景が許さぬから、かの話をばいまもっていよいよ不可思議にしている。しかし偽汽車の話ではその結末がいずれもあつらえたように多少のユーモアを交えた狐狸の仕業に帰している。これは広いといったとて高が知れたかぎりの、あの草原の話だからであろう。話者も前話ではどこまでも慎重な表情で話の余韻をばミスチカルにしようとするが、この話ではきっと語り終わってから破顔一笑するのがその型である。これくらいに両話の機縁が違っている。

しかしこの話はさきにもいったとおりにごく新しい口碑である。それだけまだ十分に完備した強固たる根性と同情とをもっていぬのも致しかたない話である。たとえば自分の最近この話の発生地だと言い伝わっている村にいって聞くと、きまって土地の人はそんなことはあるものですか、知らぬという。いなそんなはずがないがといったって、本場で知らぬものはどうもできぬ。そこで土地の人から反語的にこういう案内を受けるのである。