轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
「むだなことを考げえるんじゃねえ」彼は机にしがみついて頭を振る、「そんなことに気をとられると出世のさまたげだぞ」そして他の水夫やエンジさんの騒ぎから身を護るように、両手で耳を塞ぎ、口の中で低く、本を音読するのであった、「――その構造のAは、原則として、スチイタアと、ロオタアの二部分に分れ、スチイタアの主躰は汽筒であって……」
お兼はもう助なあこには眼もくれなかった。工場の建物の前に蓆を敷き、他の女房や婆さまたちと並んで貝を剥きながら、陽気な声でお饒舌りをし、みんなを笑わせている。助なあこが通っても知らぬ顔だし、彼を見たにしても、その眼にはなんの表情もあらわれない、犬か猫でも見るような、まったく無縁な眼つきであった。
しっつぁんも助なあこのところへは訪ねて来なかった。けれどもそれからのち、お兼の相手の男にねだるときは、次のようなことをぶつぶつと云った。
「夫婦てえものはおめえ、二人で蜜柑の木を育てるようなもんだ、その他人の育てた蜜柑をよ、只で取って食うって法はねえもんだ」そこでしっつぁんはぐあい悪げに眼をそらすのである、「――他人のおめえ、夫婦の育てた蜜柑の木に生った蜜柑を食ったら、その駄賃くれえ払わなきゃあしょあんめえじゃあ、蜜柑はなすびやかぼちゃたあちがうからな」