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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

宮本武蔵

衆口

一

衆口

一

学問は朝飯前に。昼間は、藩の時務を見たり、時には江戸城へ詰めたり、その間に、武芸の稽古は随時にやるとして――夜はおおかた若侍相手に、打ち寛いでいる忠利であった。

「どうだな、何か近頃、おもしろい話は聞かぬか」

忠利がこういい出す時は特にあらためて、無礼講とゆるされなくても、家臣たちは、

「されば、こういう事がございますが……」

と、いろいろな話題を持ち出すのをきっかけに、――礼儀こそ紊さないが――家長を囲む一家族のように、睦み合うのが例であった。

主従という段階があるので、忠利も、公務の場合は、峻厳な容態をくずさないが、晩飯の後など帷衣一重になって、宿直の者たちの世間ばなしでも聞こうとする時は、自分も寛ぎたいし、人をも寛がせたいのであった。

それに、忠利自身が、まだ多分に、一箇の若侍といったふうだから、彼らと膝を組んで、彼らのいいたいことを聞いているのが好きであった。好きばかりでなく、世情を知るうえには、むしろ、朝の経書よりも、活きた学問になった。

「岡谷」

「はあ」

「そちの槍は、だいぶ上達ったそうだな」

「上がりました」

「自分で申すやつがあるか」