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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

……きょうまでのわしが生活などは、思わざるも甚だしいものであった」

堪らなくなったように、

「せ、先生っ」

根来八九郎が、床からいった。

「敗れたと仰っしゃいますが、あのような若年者に、敗れる先生ではないことを、われわれは日頃から信じております。今日のことは、なにか、ご事情でもあったのではござりませぬか」

「事情? ……」

一笑の下に、かぶりを振って、

「かりそめにも、真剣と真剣との立合、その間に、なんで、微塵の情実など許そう。――若年者といわれたが、その若年者なるがために、わしは彼に負けたとは思わない、移っている時代に負けたと思うのだ」

「と、とは申せ」

「まあ待て」

静かに、根来のことばを抑え、また、大勢の同じ顔いろを見直して、

「手早く話そう。あちらには、佐々木殿もお待たせしてある。――そこで各※(二の字点、1-2-22)へ、改めて、申し渡す儀と、わしの希望を聞いてもらいたい」

七

――自分はきょう限り、道場から身を退こうと思う。世間からも身を隠す。隠居ではない。山中へ行って、弥五郎入道一刀斎先生の分け入った道の後をたずねる心で、なお、晩成の大悟を期したい。