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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

二

る」

「ふム、何という者か、その人の名は」

「奈良井の大蔵と仰っしゃいます」

「聞いたようだな」

「どんじき、などと、お書きくださって、なんの意味か、通じはしませぬが、そういう有徳なお方の看板でも出しておいたら、少しは貧乏神の魔除けになるかと思いましてな」

おやじは、笑った。

小次郎は、そこに並んでいる瀬戸物鉢をのぞき、肴と飯を取って、箸で蠅を追いながら、湯漬にして喰べ始めた。

前に腰かけていた二人の侍のうち――一人はいつの間にか立って、葭簀の破れ目から草原を覗いていたが、

「来たぞ」

連れを振り顧って、

「浜田、あの西瓜売りじゃないか」

といった。

あわてて、箸をおいて、もうひとりの男も立ち上がった。そして葭簀へ顔を並べながら、

「む、あれだ」

と、何か物々しく頷いた。

二

草いきれの炎天を、西瓜売りは天秤を肩に歩いてゆく。

それを追って「どんじき」の葭簀の陰から出て行った牢人は、いきなり刀を抜いて、天秤の荷縄を払った。

――もんどり打つように西瓜と西瓜売りが前へ転んだ。

「やいっ」

先刻、どんじきの中で、浜田とか呼ばれていたもう一名の牢人が、すぐ駈けて、横から西瓜売りの首を抓み上げた。