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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
迫ろうとすれば、梅軒は、すぐ感じて、後ろへ跳ぶ。
梅軒にとって、何よりも大切なのは、敵と自己との距離だった。鎌と分銅と、二分された鎖の長さが、彼の武器の長さである。
武蔵にすれば、その距離より一尺遠くてもよい。或は、一尺近くはいってもよいのである。――だが、梅軒はそうさせない。
武蔵は、彼の秘術に、まったく舌を巻いた。難攻不落の城に当って、攻めあぐねたような疲れを感じるのである。――だが、武蔵は彼の秘妙な技が、何に依って起るかを、戦いのあいだに観破った。それは二刀流の原理と同じだからであった。
鎖は一本であるが、分銅は右剣であり、鎌は左剣である。そしてその二つの物を、彼は一如に使いこなしているのだった。
「観た! 八重垣流っ」
武蔵は、そう叫んだ。その声はもう、自分の勝利を信念していた。――飛んで来た分銅から五尺も後ろへ跳び退がりながら、右手に持ちかえていた小剣を、敵へ抛りつけたのである。
梅軒の体は、彼を追って、前へ躍って来る姿勢にあった。――飛んで来た小剣に対して、梅軒はそれを払う何物もなかった。
思わず――あッと、身を捻じったのである。
小剣は、反れて彼方の木の根に突き立った。