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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
「船往来は、今朝から止まっている。武蔵の舟にちがいない」
「一人か」
「一人のようだ」
「つくねんと、何か羽織って坐っておるぞ」
「下へ、小具足でも着けて来たものだろう」
「何せい、手配をしておけ」
「山へ、行ったか。見張に――」
「登っている。大丈夫」
「では、われわれは、舟のうちへ」
いつでも、綱を切れば、漕ぎ出られるように、三、四十名の者達は、どやどやと、思い思いに小舟へかくれた。
舟には、一筋ずつの長槍も伏せてあった。物々しい扮装振りは、巌流よりも、また、武蔵よりも、その人々の中に見られた。
――一方。
武蔵見えたり!
という声は、そこのみでなく、同じ頃に、船島にも当然伝わっていた。
ここでは。
波の音、松の声、雑木や姫笹の戦ぎも交じって、全島、今朝から人もないような気配だった。
気のせいか、蕭殺として、それが聞えた。長門領の山からひろがった白雲が、ちょうど中天の太陽を時折かすめて、陽が陰ると、全島の樹々や篠のそよぎが、暗くなった。――と思うと、一瞬にまた、くわっと陽が照った。
島は、近寄って見ても、極めて狭い。
北はやや高く丘をなして、松が多い。そこから南の懐が、平地から浅瀬となったまま海面へのめりこんでいる。