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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「大助どの、誰か呼んでおりますぞ」

と教えつつもそれへ眼を注ぐ。

ぜひなく、彼は、

「おお、林鐘坊どの。何処へ」

さりげなくいい寄ると、山伏は、

「紀見峠からいっさんに――これから山のお屋敷へ直ぐ参ろうと思って」

と、声高に立話をし始め、

「先頃、知らせを受けていた怪しげな関東者を、奈良で見つけ、やっと紀見の上で、生擒ったのでござる。人なみ優れて、面だましいの剛気なやつ、月叟様の前にひきすえて、泥を吐かせたなら、関東方の反間の機密などが、或はこの者の口から……」

黙っていれば、問わぬことまで、立板に水のような調子で誇り顔に喋舌り出すので、大助も遂に、

「これこれ、林鐘御坊、何をいうのか。わしにはいっこう分らぬが」

「ご覧じませ。馬の背を。――その馬の背に引ッ縛ってある奴こそ、関東者の隠密で」

「ええ。ばかな」

堪らなくなって、もう眼や顔つきでは、間に合わなくなったように、大助は一喝した。

「往来ばたで――しかも、わしのお供いたしておるお客を誰ぞと思う。――豊前小倉の細川家の御老臣、長岡佐渡様。滅多なことを……いや戯れも、ほどにいたしたがよい」

「えっ?」

林鐘坊は、はじめて、眼をべつな方へ遣った。