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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

佐渡と、縫殿介とは、耳のないような顔して、彼方此方、眺めていたが、その間も、迅い雲脚は頭のうえを越えて行き、雨まじりの風の落ちて来るたび、佐渡の着ている蓑は、鷺の毛のように、風に膨んだ。

――あれが細川家の?

と、林鐘坊は、口をつぐむと、さも意外らしく愕きと怪しみを湛えた横目づかいで見ていたが、

「……どうして?」

と小声で、そっと大助へ、訊ねていた。

ふた言三言。何か囁いて、大助はすぐこっちへ戻って来たが、それを機に長岡佐渡は、

「もうここで、お引取りくだされい。これ以上は、かえって恐縮」

と、強いて大助と袂をわかち、会釈もそこそこ立ち去った。

大助は、是非なげに、なお佇んだまま見送っていたが、その眼を荷駄馬と山伏のほうへ返すと、

「迂濶な」

と、たしなめて、

「場所がら、人がら、よう眼をあいて、物はいうものぞ。お父上のお耳へでもはいったら、ただ事には措かれまいぞ」

「はっ。……よもやと存じて」

山伏は面目なげに謝った。あれよ真田の郎党鳥海弁蔵と、この辺では知らぬ者もなかったが。

港

一

(――おらは、気が狂ったのかな?)

伊織はときどき、そんな恐怖に襲われた。