Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
大変愉快ではあったけれど、どっちも恐がって手を出さない。で、いつまでも睨み合いさ。そうしてそのうちに別れっちゃった。別れぎわがよかったよ。二階へ上がる箱梯子、そこへ両袖を投げかけたのさ。可愛い可愛い娘さんがね。私の方へ背中を向け、泣きじゃくったというものさ。白い頸足、もつれた後れ毛、よかったなあ、眼に残っている。『お暇致すでございます』こう云って私は門を出た。月があって春霞、狭い往来が真っ白だった。二間の先が見えないのさ。たしかその時歌を作った。『憐れなりけり憐れなりけり』しまいの文句はこうだったよ。つまり自分を憐れんだのさ。翌日福島を立ったがね、娘さんは送ってはくれなかった。それがまた素敵によかったのだ。『薄情の美』というやつさ。もちろんそれっきり逢いはしない。遠い昔の物語り! もうよかろう、ご出発」
表通りは危険である。そこで裏通りを行くことにした。膏薬なんか売れはしない。
「だがな、その頃の福島には、綺麗な娘さんが随分いた。下駄屋さんにも金物屋さんにも、歯医者さんにもいた筈だ」またも道人思い出話。
「私は実際惚れきれなかった。あっちこっち眼移りがしたからさ。