Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme

Aozora Bunko

河東節の水調子

――

「お待ちになって、え、幹様?」

「ああ待ったよ、メチャメチャにな」

「可哀そうな坊やでございます」

「ああそうとも、可哀そうな俺だ」

「お泣きなさりませ、膝を枕」

「泣きたいなア、思い切って」

「涙は妾が拭きましょうよ」

「そうしてお前は泣かないのか?」

「今まで泣いて参りました。あの、杉酒屋のお三輪でね」

「うむなるほど、舞台でか」

「縫之助様を追っかけて! 意地悪い官女に嬲られてね。そうして殺されたのでございますの、あの恐ろしい鱶七にね」

「舞台で泣いた涙なら、空涙という奴さ」

「でも悲しゅうございました」

「俺の知ったことではない」

「あんなにつまされて泣いたのに」

「ああ泣きたいのは今の俺だ!」

「泣くのはよいものでございます。胸がスッと開きます」

「開くかなア、この胸が!」

「おや、お客が上がったらしい。河東節の水調子、二階から聞こえて来るじゃアないか」

なるほど、三味線の音色がする。錆びた男の唄声がする。

じっと二人聞きすました。

※(歌記号、1-3-28)なくより外の琴の音も

二十五絃の暁に

「いいわねえ、玉菊だよ」

※(歌記号、1-3-28)くだけて消ゆる玉菊の

光は仮りのものながら