Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme

Aozora Bunko

待つ身の辛さ幹之介

その前庭を前に控え、瀟洒に作られた一つの部屋、そこにポツネンとして坐っているのが、尾張家の家臣志水幹之介、年二十三、近習役、志水甲斐守の遠縁で、宗春公のお気に入り、美男で熱情的で正直な人物、文武は普通、趣味は豊か、茶や生花や俳諧や、そういうものに堪能である。

荻野八重梅の人気を聞き、二三人の同僚と見に行ったあげく、茶屋へ呼んだのが恋のはじめ、熱情的で正直なだけに、カッと火のように燃えてしまい、狂人のように追い廻した。男嫌いで通っていた、荻野八重梅もどうしたものか、幹之介の恋だけは易々と入れ、ここに馴染んで半年になる。

いつも遭う場所はきまっている。この武蔵野のこの部屋である。

で、今夜も待っている。

石燈籠へ灯がはいり、その裾の萩叢を明るめている。ジーッと聞こえるのは虫の声、市中の騒動が影響してか、今夜は武蔵野客がないらしい。

手持ち無沙汰に坐っていた仲居、

「おっつけおいででございましょう、このお多福がそれまではお相手、さあさあおすごしなさいまし」

盃をさしたので幹之介、受け取ってグッと飲んだものの、たしかにお多福の酌よりも、八重梅の酌の方がよいと見え、飲みっぷりが不味そうである。