Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
後へ残された三人の女
つまらない真っ暗な顔をして、酒場の片隅に腰かけていた。
探しても探しても目付からない、恋人宗三郎の俤が、眼の前に立って離れない。
あの夜以来今日まで、父仁右衛門と手分けをし、山中隈なく探したのであったが、宗三郎の姿は目付からなかった。よもや江戸からお仙という、恋の競争者が追っかけて来て、恋人を横取りして螢ヶ丘、六文の巣窟へ連れ込んだとは、想像することは出来なかった。切られて死んで谷へ落ち、川の底へ沈んだか、山窩の山塞へ連れて行かれたか、それとも御岳に愛想をつかし、江戸へ帰ってしまったか、想像の範囲は三つであった。
「どっちにしても妾は悲しい」
胸が痛くなり、眼が熱くなり、ボッと見るものが霞んで見えた。純な少女の初恋が、涙となって曇らせるのである。
ちょうどその日の午後のこと、珍らしい客がはいって来た。
「おや」と云って浜路立ち上がった。
後へ残された三人の女
「おや」と浜路が云ったのは、彦兵衛がはいって来たからであった。
「小父さん珍らしいじゃあありませんか」浜路立ち上がって側へ行った。
「さようさ、私は神様狂人、こういう所へは来たことはないが、今日は用があって寄りましたよ」