Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
月光に照らされた汚い足
月が斜めに射し込んでいる。で小屋の中がポッと明るい。坐っているのは薬草道人、月光が半面を照らしている。その横にいるのが尾張宗春、端然としてかしこまっている。背後にいるのは猪十郎と紅丸、傍らにあるのは薬剤車、すこし離れてお吉がいる。みんな平和で仲がよい。その一団を取り巻くように、材木の上や船の中に、うごめいているのは何者であろう? それも十人や二十人ではない。百人近くの人影だ。他でもない、モカ達である。
大勢のモカ達を相手にし、薬草道人の人情哲学! さっきから始まっているのである。
「あれはな、この俺の二十五六の頃だ、大きな地震が起こったっけ、江戸が大半潰れてしまった……それについて面白い話がある」
月光に照らされた汚い足
薬草道人の人情哲学。――
「江戸の大半を潰した地震、あれは随分恐ろしかった。上流の方々も死なれたし、下流の人達も沢山死んだ。そうして吉原の花魁さんなんかも、かなりむごたらしく死んだ筈だ。うんそうそうそれについて、こんな思い出が俺にあるよ、花魁さんが惨死したと聞くと、俺の眼瞼は熱くなったよ。涙が出かかったというものさ。上流の方々の死なれたのも、もちろん何んともお気の毒ではあるが、しかしそういう人達は、生前面白いお芝居を見たり、結構なご馳走をいただいたり、面白い目にも会った筈だよ。