Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
常陸水戸家の鷺組の頭
と、望遠鏡を覗くのである。
「今日もいる。また笑った!」
さてある夜のことである。三弥も連れず紋右衛門も連れず、一人で立ち出でた尾張宗春、水主町まで歩いて来た。名月ではあるが深夜のこと、それに辻斬りの噂が立ち、ここらあたりは人も通らぬ。
と、行手から一人の女、俯向きながら歩いて来た。擦れ違おうとした時である.フッと女は顔を上げた。それを認めた尾張宗春、
「おっ、そなたは、濠端の女!」
「よいお月夜でございます」
女は艶然と一笑した。それはまさしくあの女であった。
袖を捉えた尾張宗春、
「念願叶った! とうとう目付けた!」
「殿様!」と云うとその女、柔かに宗春の手を取った。「おいでなさりませ、妾の住居……」
「行かないでどうする! 連れて行ってくれ!」
行きかかった時、影のようなもの、ボッと人家の軒へ立った。
常陸水戸家の鷺組の頭
軒に立った一個の人影! これがまた異様な風態である。女であることは疑いなく、しかも非常に美しい。年は若く小造りで、全身白無垢を纒っている。月光が凍って出来たような女。晩夏だというのに雪が降り、雪女郎が出たといってもよい。じっと見ている眼の鋭さ! しかし笑ったら愛嬌があろう。