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Japanische Klassiker mit Furigana

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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme

Aozora Bunko

二人の賭けどっちが勝つか?

大風が吹くぞと道人に云われ、紅丸不思議そうに空を見た。風の吹きそうな空ではない。穏かに和んだ空である。雲らしいものの姿もなく、星が光を弱めて来た。明の微光が空の涯に、既にその色を現わしたからである。静かな伊勢湾、波も平らで、鯨が浮かび出て遊びそうである。

「何んの道人様、こんなよい朝に、大風なんか吹くものですか」紅丸どうにも信じられないらしい。

「ナーニ吹くよ、大風がな」道人自説を守るのである。

「なんのなんの吹くものですか」紅丸も頑として自説を曲げない。

「よしよしそれでは賭けをしよう」道人こんな事を云い出した。

「ようございます道人様、それでは賭けを致しましょう」紅丸大きに乗り気になった。「負けたら何をくだされます」

「それはこっちから云うことだよ。お前負けたら何をくれるな」

「お好きなものを差し上げます」

「お前には何んにもないじゃアないか。この貧乏な紅丸小僧め」

「あッ、そういう道人様だって、何んにもお持ちでもないくせに、この貧乏な……」

と云いかけたが、「道人め!」とは続けなかった。「道人様めーッ」と云ったのである。

愉快な笑いが爆発した。

猪十郎だけは何んにも云わない。