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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme

Aozora Bunko

曹操は小高い阜の上から心地よげに見ていた。

「今ぞ。孫権を擒にするのは」

それは自分を励ました声と、許は彼のそばを去るや否、馬をとばして、そこへ馳けつけ、叫喚一声、血漿けむる中へ躍り入った。

呉兵の死屍はいやが上にも累々と積まれて行った。ために、濡須の流れも紅になるかと怪しまれ、あまりの惨状に、主将孫権のすがたすら、どこにいるのか誰が誰なのか見分けもつかぬばかりだった。

呉の一将周泰は、その中をよく奮戦して、一方に血路をひらき、河流の岸までのがれて来たが、顧みると、主君孫権はなお囲みから出ることができず、彼方にあって揉みつつまれている様子。

「周泰はここにいますっ。周泰はこれにありっ。早く此方へ来給え」

呼ばわりつつ、周泰は敵の背後へまわって、その包囲を脅かし、一角の崩れを見ると、

「いざ、いざ、こうなっては、何事もあとに任せて」

と、孫権と駒を並べ、ほとんど、わき目もふらず、敵の矢道を走り抜けた。

そこへ折よく、呂蒙の一軍が、中軍の大敗を案じて引っ返して来た。周泰は、

「舟をっ。舟をっ」と水へ向って声を嗄らし、ともあれ孫権を、舟へ移した。

けれど、あとの戦場は、なお土煙や血煙に、濛々としている。