Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme

Aozora Bunko

四

浅瀬をこえて、ようやく対岸の広野へわたる。――ところが、そこも怪しげなる一陣の兵がまんまんと旗を立てて一輛の四輪車を護っていた。

「や。あの車上に坐し、羽扇をもって、わしを招いているのは誰だ?」

張任が、部下へきくと、あれこそ新たに玄徳の陣に加わったと聞く軍師の孔明でしょうと、誰かうしろで答えた。

「あははは。あれが孔明か」

張任は肩をゆすって笑った。

四

――なぜならば、孔明の四輪車を囲んでいる兵は、みな弱そうな老兵であり、そのほかの兵もみなぶよぶよに肥えて、見るからに脆弱な士卒ばかりだったからである。

「いやはや、目前に見る孔明と、かねて耳に聞いていた孔明とは、大きなちがいである。用兵神変、孫子以来の人だなどと、取沙汰されておるが、あの陣容とあの兵気は何事か。芥の山を踏むより易いぞ、蹴ちらせ、あの塵芥を」

張任の一令に、なお背後にのこっていた数千の兵は、どっと喚きかかって行った。

四輪車は逃げだした。

右往左往のていで。

「車上の片輪者待て」

手づかみにして、生捕ることも易しと、張任は馬を打ってとびこみ、雑兵には目もくれず、あわや車蓋のうえから巨腕をのばそうとしかけた。