Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
二
「ついに彼は首級となり、我は生きて、ここに会見する日が来たか」
と、遠い以前の事どもを追想しかたがた、孫権の態度も神妙なりと嘉して、群臣と共に使者を引いて、関羽の首を実検した。
すると、その席で、
「大王大王。ご喜悦の余りに、呉が送ってきた大きな禍いまでを、共に受け取ってはなりませんぞ」
と、諸人の中から呶鳴った者がある。
人々の眼はその顔を求めた。曹操が、何故かと、それへ向って訊ねると、彼は、
「これは呉が禍いを転じて、蜀のうらみを魏へ向けさせんとする恐ろしい謀計です。関羽の首をもって魏蜀の相剋を作り、二国戦い疲れるを待つ呉の奸智たることに間違いはありません」
と、はばかりなく断言した。すなわち司馬懿、字は仲達であった。
二
呉の深謀も、ついに魏を欺けなかった。魏にも活眼の士はある。司馬仲達の言は、まさに完膚なきまで、呉の詐術を暴露したものであった。
曹操もおぞ毛を震って、仲達の言は、真に呉の意中を看破したものだとうなずいた。そして、関羽の首はそのまま呉へ返そうかとまで評議したが、
「いや、それでは、大王のご襟度が小さくなります。ひとまず収めて、何気なく使者をお帰しになった上でまたべつにお考えを施せばよろしいでしょう」