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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme

Aozora Bunko

二

穆順なれば確かです。あれをおつかわし遊ばしませ」

伏皇后は、ついに思いきって帝の御意をこう動かした。

もとより献帝のご隠忍は年久しいことだったので、胸中の埋み火は、たちまち、理性の灰を除いてしまった。きびしい監視の眼をしのんで秘勅の一文をしたためられた。

これを穆順という一朝臣にあずけて、そっと、伏皇后の父君にあたる伏完のやしきへ持たせてやったのである。忠節無二な穆順は、御詔書を、髻の中にかくして、この命がけの使いに、一夜禁門から出て行った。

二

朝臣のうちにも、曹操のまわし者たるいわゆる「視る目嗅ぐ鼻」はたくさんいる。

すぐ密告して、曹操の耳へこう伝えた者がある。

「何かそそくさした様子で、穆順が内裏を出て、伏完の宅へ使いに行ったようです」

勘のよい曹操には、すぐ何かぴんと響くものがあったに違いない。彼は、わずかな武士をつれて、自身、内裏の門にたたずみ、穆順がもどって来るのを待っていた。

もう深更だった。

穆順は何も知らずに、帰ってきた。門の衛士には、出るとき賄賂をやってある。あたりに人影はない。すたすたと内裏の門へさしかかった。

「待て待て」

ふいに物蔭から呼び止める声がした。