Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme

Aozora Bunko

夢の中には、一痕の月があった。墨のごとき冷風は絶え間なく雲を戦がせ、その雲の声とも風の声ともつかない叫喚がやむと、寝所の帳のすそに、誰か平伏している者がある。

愕然、夢の中で、玄徳はその者へ呶鳴った。

(や。わが義弟ではないか。――関羽、関羽。こんな夜更けに、そも、何しに来たか)

まさしくそれは関羽の影にちがいないのだが、いつもの関羽に似もやらず、容易に面もあげず、ただ凝然と涙を垂れている容子。――そして一言、

(桃園の縁もはかなき過去と成り果てました。家兄、はやく兵のご用意あって、義弟のうらみをそそぎ賜われ……)

と、いったかと思うと、黙然一礼して、水の如く、帳の外へ出て行くのだった。

(待て、待て。義弟)

玄徳は夢中にさけびながらその影を追って、前殿の廻廊まで走り出したが、そのとき宙天一痕の月が鞠のように飛んで西山へ落ちたと見えたので、あっと面をおおいながらそれへ倒れてしまった。

夢は夢に過ぎなかったが、彼が前殿の廊で仆れていたのは事実であった。孔明はその朝、常より早めに軍師府へ姿を見せていたが、舎人から噂を聞いて、すぐ漢中王の内殿を訪れた。

「すこしお顔色がわるいようではございませんか。