Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
華陀はふかく恩を感じて、ある日、人目のない折、
「呉押獄。情けはありがたいが、もし上司に知れたら、御身はたちまち免職になるであろう。わしもすでに老齢じゃ。長からぬ命といまはさとっておる。以後はどうかほうっておいて欲しい」
と、落涙して云った。
「いやいや、先生に罪があるなら私も決して庇いませんが、自分は呉にいた頃から先生の人格と神技に深く敬慕を寄せていた者です。どうかそんなご心配なく」
「では、其許は呉の産か」
「ええ。姓も呉氏です。若い時分、医学が好きで、医者の書生となって勉強したこともありましたが、そのほうでは遂に志を得ず、司法の役人になってしまったのです」
「……ふふむ、そうか。しからば恩返しの一端に、わしが秘伝の書として家に蔵しておる医書を御身へ譲ってやろう。わしの亡き後は、その神効をことごとく学び取って、世の病者を救ってやってくれい」
「えっ。先生、それはほんとですか」
「いま、郷里の家人へ宛ててわしが書簡を書くから、金城のわしの家まで行って、その医書を貰って参るがよい。書簡の内へも書いておくが、それは青嚢の書といって、書庫の奥深くに秘して、今日まで他人に見せたことはないものじゃ」