Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
「出陣を前に、便々と十日も猶予しておられようか。わが命に違反なす奴、懲らしめてやれ」
武士に命じて、ふたりを縛り、陣前の大樹にくくりつけた。
のみならず、張飛は、鞭をもって二人を撲った。味方の者の見ている前で、このことを与えられた范疆兄弟は、絶対なる侮辱を覚えたにちがいない。
けれども二人は、やがて悲鳴の中から、罪を謝してさけんだ。
「おゆるし下さい。やります。きっと三日のうちに、ご用命の物を調達いたします」
至極単純な張飛は、
「それみろ、やればできるくせに。放してやるから、必死になって、調えろ」
と、縄を解いてやった。
その夜、彼は諸将と共に、酒を飲んで眠った。平常もありがちなことだが、その晩はわけても大酔したらしく、帳中へはいると床のうえに、鼾をかいて寝てしまったのである。
すると、二更の頃。
ふたりの怪漢が忍びこんで、やや久しく帳内の壁にへばりついていた。范疆、張達の兄弟だった。張飛の寝息を充分にうかがいすまし、懐中の短剣をぎらりと持つや否、
「うぬ!」
と一声、やにわに寝姿へおどりかかって張飛の寝首を掻いてしまった。
首をさげて、飛鳥の如く、外の闇へ走ったかと思うと、江のほとりに待たせてあった一船へ跳びこみ、一家一族数十人とともに、流れを下って、ついに呉の国へ奔ってしまった。