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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme

Aozora Bunko

まだうごく時機ではない」

やがて日没の頃、江北の陣地から煙があがった。失火だろうと眺めていると、少し下流の陣からもまた火があがった。

「この強風に心もとない。関興、見廻って来い」

宵になっても火は消えない。いや北岸ばかりでなく、南岸にも火災が起った。玄徳はすぐ張苞を走らせて、万一の救けにさし向けた。

「いぶかしい火である」

夜空はいよいよ真っ赤に焦げただれるばかりだった。波の音か、人間の叫喚か、すさまじい烈風が飛沫を捲き、砂をとばした。

「や、や。ご本陣の近くにも」

誰やらがふいに絶叫した。

乾ききッている木の葉がちりちり焼け出している。それは帝玄徳の陣坐するすぐ附近の林からであった。

「すわ」

と、彼の帷幕が狼狽を起したときは、敵か味方か、見分けもつかぬ人影が、右往左往、煙の中を馳け乱れていた。

「敵だっ。呉兵だっ」

玄徳の眼の前で、もう激しい戦闘が描きだされた。彼は、諸人に囲まれて、馬の背へ押し上げられていた。けれど、そこから味方の馮習の陣まで走るあいだに、戦袍の袖にも、馬の鞍にも、火が燃えついていた。いや走る大地の草も空の梢も火となっている。

五

――ところが、辿りついた馮習の陣も、真っ黒な混乱の最中だった。