Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
五
ここでは火ばかりでなく、呉の大将徐盛が襲って、猛烈な炎を味方として、攻め立てていたのである。
「こは、何事?」と、玄徳は茫然としかけた。敵の計の渦中に墜ちているときは、自身の位置が的確に分らないものだった。玄徳の心理はそれに似ていた。
「だめです。ここも危険です。この上は、白帝城へ、一刻も早く白帝城へ」
誰か、扈従のうちで叫ぶ。その声はわななき、それに答える声は、煙にむせぶ。
夢中で、彼は駒をとばした。焔の中を。煙の中を。それを見て、馮習は、
「お供せん」と、十数騎つれて、追い慕ってきたらしかったが、途中、徐盛に出合って、部下もろとも討たれてしまった。
「それ、玄徳を生捕れ」
と馮習の首をあげた徐盛は、勢いを加えて、道を急いだ。
玄徳の前にはまた、呉の丁奉が一軍を伏せて待っていた。
当然、挟撃されて、進退きわまってしまった。
もしここへ、味方の傅や張苞などが馳けつけて来なかったら、彼の運命は呉の大将どもに託されていただろう。しかし折よく彼を慕ってきた味方の救いが間に合ったので、だんだんと厚い囲みに守られ、馬鞍山をさして逃げ落ちた。
山の頂まで逃げ上って、玄徳は初めて人心地をよびもどした。