Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
彼の率いた一万騎は、漢川を風靡した。しかし、よく軍令を守って、少しも略奪や殺戮の非道をしなかったので、行く先々の軍民は、彼の旗をのぞんでみな降参して来た。
やがて巴郡(重慶)へ迫った。
蜀の名将厳顔は、老いたりといえど、よく強弓をひき太刀を使い、また士操凛々たるものがあった。
張飛は、城外十里へ寄せて、使いを立て、
「厳顔老匹夫。わが旗を見て、何ぞ城を出て降らざるや。もし遅きときは、城郭をふみ砕いて、満城を血にせん」
と云い送った。
「笑止なり。放浪の痩狗」
厳顔は、使いの耳と鼻を切って、城外へつまみ出した。張飛が赫怒したことはいうまでもない。
「みろ。きょうの中にも、巴城を瓦礫と灰にしてみせるから」
まっ先に馬をとばし、空壕の下に迫った。
けれど、城内は、城門を閉じ、防塁を堅固にして、一人も出て戦わなかった。のみならず、矢倉から首を出して、さんざんに張飛を悪罵したので、張飛は、
「その舌の根を忘れるな」と日没まで猛攻をつづけた。
しかし、頑として、城は墜ちない。無二無三、城壁へとりついて、攀じ登ろうとした兵も、ひとり残らず、狙い撃ちの矢石にかかって、空壕の埋め草となるだけだった。