Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
裏木戸
一
あの家の十倍もお金のある家から嫁さんが来たという話だけれど。」
「そうだろう。こちとらと身分が違うもの。本人が結婚しようと思っても、傍が煩かろうよ。それよりかあの温順やかな写真屋さんな――あの人も一度東京へ用があって来たとか言って、寄って行ったけれど、罐詰屋さんと違って、なかなか人品もいいし、何かによく気もつくし、何だかお前をほしいような口吻だったが、あの人はどうしたろう。」
そんなことは、銀子も当の写真屋から聞いたようでもあり、今が初耳のようでもあった。
「いるわよ。」
「あの人なら申し分なしだが、何か話があったろう。」
「何だかそんなこといっていたけれど、私あんな男大嫌いさ。」
「どうしてさ。ああいう大金持よりも、あんな人の方がよほどいいと思うがな。」
「お銀が嫌いなものを、お前がいくら気に入ったって仕様があるもんか。」
父は煩さがり、言葉荒くやりこめた。
裏木戸
一
翌日の晩方、銀子は芳町の春よしというその芸者屋へ行ってみた。
春よしは人形町通りを梅園横丁へ入ったところで、ちょうど大門通りへぬける路地のなかにあった。幕府の末期までこの辺に伝馬町の大牢とともに芳原があったので、芳町といい大門通りというのも、それに因んだものだと言われていたが、春芳は三百に近い土地の置家のなかでは微々たる存在であり、家も豚小屋のように