Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
あの幼い人が先生の顔を見い見いして神経をつかっているのに、先生は路傍の人の態度で外方むいているじゃありませんか。私は心が暗くなって、幾度となく台所へ出て涙を拭き拭きしていたのでした。私たち母子は先生のところのお茶貰いになぞなりたくはありません。」
葉子は途切れ途切れに言って、激情に体を戦かせていた。庸三は驚き傍へ寄って、宥めの言葉をかけたが、効がなかった。起きあがったと見ると、次の間で箪笥の前に立って何かがたがたやっていたが、そのまま瑠美子を引っ張って、旋風のごとく玄関へ飛び出した。
少し狼狽して、庸三は出て見たが、「二度と己の家の閾を跨ぐな」と尖った声を浴びせかけて、ぴしゃりと障子を締め切った。
やがて学校を退けて来た咲子が、部屋から部屋を捜しあるいた果てに、父の書斎へ来て寂しそうに立っていた。庸三は何かせいせいした感じでもあったが、寂しさが次第に胸に這いひろがって来た。彼女の憤りを爆発させた今朝の態度の不覚を悔いてもいた。
「おばちゃんは?」
「おばちゃんは出て行った。」
「瑠美子ちゃんも?」
「そう。」
「もう帰ってこないの。」
「帰ってこないよ。」
庸三は言ったが、どこかそこいらを歩いている親子の姿が見えるように思えてならなかった。