Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
これも一つの美人の典型であろうが、自然さは葉子の方にあった。
「先生何か召し食ります? トストでも。」
「そうね。」
「私御飯いただいたんですよ。これからお山へお詣りに行くんですけれど、一緒に来て下さいません?」
「お山って。」
「待乳山ですの。」
「変なところへお詣りするんだね。何かいいことがあるのかい。」
「あすこは聖天さまが祀ってあるんですの。あらたかな神さまですわ。舟で行くといいんですけれど。」
お昼ちかくになってから、不断着のままの小夜子と同乗して、庸三もお山の下まで附き合った。そしてタキシイのなかでお山の段々から彼女の降りて来るのを待っていたが、それからも彼は二三度お詣りのお伴をして、ある時は段々をあがって、香煙の立ち昇っている御堂近くまで行ってみたこともあった。
ある日も庸三はこの水辺の家へタキシイを乗りつけた。
彼は三日目くらいには田舎にいる葉子に手紙を書いた。書いたまま出さないのもあったが、大抵は投函した。もう幾本葉子の手許にあるかなぞと彼は計算してみた。いずれいつかはそっくり取り返してしまうつもりであったし――またほとんど一本も残らずある機会に巧く言いくるめて取りあげてしまったのであったが、そんな予想をもちながらも、やはり書かないわけに行かなかった。